赤坂・赤坂見附の歯医者・矯正歯科「赤坂B&S歯科・矯正歯科」です。
歯並びを整えるために始めた矯正治療の途中で、冷たい飲み物を口にしたときや歯磨きの際に歯がキーンとしみるように感じ、不安を覚える方は少なくありません。矯正中に発生する歯がしみる症状の多くは知覚過敏によるものですが、原因を正しく理解し、適切なケアを行うことで症状を和らげることが可能です。治療が順調に進んでいるサインである場合も多いため、過度に心配せず、まずは痛みの仕組みや原因、効果的な対処法を学びましょう。
矯正中に歯がしみる「知覚過敏」が起こる仕組み
矯正治療中に生じる「しみる」という感覚は、主に歯の構造と治療による物理的な変化が関係しています。虫歯がなくても、外部からの刺激が歯の内部にある神経に直接伝わることで知覚過敏が発生します。
エナメル質の内側にある象牙質に刺激が伝わるメカニズム
健康な歯は、一番外側にある非常に硬いエナメル質という組織によって保護されています。しかし、エナメル質の内側には、象牙質と呼ばれるやや軟らかい組織が存在します。象牙質には、象牙細管と呼ばれる目に見えない無数の細い管が通っており、この管は歯の中心部にある神経(歯髄)へと直接つながっています。何らかの理由でエナメル質が薄くなったり、歯茎が下がって本来隠れているはずの歯の根元が露出したりすると、象牙細管を通じて冷たいものや風などの刺激が神経に直接伝わり、キーンとした痛みを感じるようになります。
歯を動かす痛みと知覚過敏による「しみる痛み」の違い
矯正治療に伴う痛みには、大きく分けて「歯が動くときの痛み」と「知覚過敏によるしみる痛み」の2種類があります。歯を動かす痛みは、歯を支える骨の血流が変化し、歯の周りにあるクッションの役割を果たす歯根膜という膜が圧迫されることで生じる鈍い痛みです。主に装置を調整した直後から数日間にわたって、噛むときにジワジワと痛むのが特徴です。一方、知覚過敏による痛みは、冷たい飲み物や甘い食べ物、あるいは歯ブラシの毛先が触れた瞬間など、特定の外部刺激を受けたときにだけ一過性で鋭く発生します。このように発生するメカニズムや痛みの性質が全く異なります。
矯正中に歯がしみる主な原因
矯正治療中は、歯やその周囲の組織がダイナミックに変化しているため、日常よりも知覚過敏が引き起こされやすい環境になります。具体的な原因はいくつか考えられます。
歯の移動によって歯と歯茎の間に一時的な隙間ができる
矯正治療では、月に1ミリ程度のわずかなペースでゆっくりと歯を動かしていきます。この移動プロセスにおいて、歯の根元が動く際に歯と歯茎の間に一時的な隙間が生じることがあります。通常は歯肉にしっかりと覆われている部分が露出するため、そこから象牙質に刺激が入りやすくなり、しみる原因となります。ただし、この隙間は歯の移動が一段落して周囲の組織が整うと自然と消失することがほとんどです。
IPR(ディスキング・歯のやすりがけ)による刺激
歯を並べるスペースを確保するために、歯の両サイドをわずかに削るIPR(ディスキング)という処置を行うことがあります。IPRでは、厚さ約1.5mmあるエナメル質のうち、0.25mmから0.5mm程度の極めて薄い範囲をやすりで削るため、通常は内側の象牙質まで達することはなく安全です。しかし、一時的にエナメル質が薄くなることで熱や冷たさが内部の神経に伝わりやすくなり、処置直後は一時的にしみる症状が出やすくなることがあります。
歯茎が下がること(歯肉退縮)による歯根の露出
歯を理想的な位置に動かす過程や加齢、あるいは過度なブラッシングなどによって、歯茎が下がる「歯肉退縮」が起こることがあります。歯の根元部分にはエナメル質がなく、象牙質が直接露出しているため、歯肉退縮が起きると冷たい水や空気の刺激に対して非常に敏感になり、持続的な知覚過敏を引き起こす要因となります。
矯正中の強い力によるブラッシング圧
矯正中は装置の周りに汚れが溜まりやすくなるため、いつも以上に念入りに歯を磨こうとしがちです。しかし、きれいにしようと力任せにゴシゴシと磨いてしまうと、適切な力(150から200g)を大幅に超えてしまい、エナメル質を摩耗させたり歯茎を傷つけて下げてしまったりする原因になります。歯ブラシの毛先が1ヶ月以内に開いてしまう場合は、ブラッシング圧が強すぎるサインですので注意が必要です。
歯ぎしりや無意識の食いしばりによる歯への負担
矯正治療中に噛み合わせが変化していく過程で、無意識のうちに歯を噛み締めたり、就寝中に歯ぎしりをしたりすることがあります。食いしばりや歯ぎしりは、自分の体重以上の非常に強い力が歯に加わり続ける状態を招きます。これによりエナメル質に細かな亀裂が入ったり、歯の根元に負荷が集中して削れてしまったりすることで、神経への伝達路が広がり知覚過敏が悪化します。
ワイヤー矯正とマウスピース矯正における知覚過敏の特徴
治療方法の違いによっても、知覚過敏の現れ方やその背景となる要因にはそれぞれ異なる特徴があります。
ワイヤー矯正:装置調整後の急激な力や磨き残しの影響
ワイヤー矯正は、ワイヤーの弾性を利用して常に一定の強い力を歯にかけ続けます。そのため、装置を調整した直後は歯根膜だけでなく歯の神経自体も非常に過敏になり、一時的に知覚過敏のような症状が出やすくなります。また、ブラケットやワイヤーの周りは複雑な形状をしているため磨き残しが生じやすく、付着した汚れ(プラーク)から発生する酸がエナメル質を溶かし、知覚過敏を誘発することもあります。
マウスピース矯正:着脱時の摩擦や口腔内の乾燥による影響
マウスピース矯正でも歯を動かしていくため知覚過敏は起こり得ますが、特有の原因として、マウスピースを着脱する際に歯に加わる摩擦や引っ張られる力が挙げられます。さらに、マウスピースを長時間装着していると、唾液が歯の表面に行き渡りにくくなり、お口の中が乾燥しやすくなります。唾液には歯を酸から守り傷を修復する「再石灰化」の作用があるため、乾燥によってその作用が十分に働かず、初期段階のしみる症状が強まる傾向にあります。
矯正中に歯がしみるときに自分でできる対処法・セルフケア
しみる症状があっても、日常的なケア方法を見直すことで、自宅で痛みを和らげ、快適に矯正生活を送ることができます。
知覚過敏用の歯磨き粉を継続して使用する
知覚過敏対策として最も手軽で効果的なのが、知覚過敏専用の歯磨き粉の使用です。これらの歯磨き粉には、乳酸アルミニウムや硝酸カリウムといった有効成分が含まれています。これらは、象牙細管の微細な穴を物理的に塞いだり、神経の周りにイオンのバリアを作って痛みの伝達を麻痺させたりする働きがあります。1回の使用で完全に痛みが消えるわけではなく、毎日の歯磨きで継続して使い続けることによって、徐々にしみる症状が和らいでいきます。
ペングリップで持ち、やわらかめの歯ブラシで優しく磨く
ブラッシング時の刺激を最小限に抑え、かつ汚れをしっかり落とすために、歯ブラシの持ち方と毛先の硬さを見直しましょう。歯ブラシを握る際は、鉛筆を握るように持つ「ペングリップ」が適しています。これにより余計な力が入らなくなり、適切なブラッシング圧(150から200g)を保ちやすくなります。また、毛先がやわらかめのブラシを選択することで、露出した象牙質や下がってしまったデリケートな歯茎を痛めることなく、隅々まで優しくケアすることができます。
冷たい飲み物や酸味の強い刺激物を一時的に控える
知覚過敏の症状が強く出ている時期は、感覚がさらに鋭敏になるのを防ぐために食生活にも少し配慮が必要です。冷蔵庫から取り出したばかりの冷たい水や氷入りの飲み物、あるいは柑橘類や酢の物といった酸味の強い食品は、露出した象牙質に強い刺激を与え、鋭い痛みを引き起こす引き金になります。水分補給は常温の水やぬるま湯にし、酸性の強い食事の後は軽く水でゆすぐなどして、歯への刺激を一時的に和らげましょう。
自己判断で装置を外したり装着時間を減らしたりしない
マウスピース矯正などで一時的に痛みが生じると、しみる感覚や違和感を避けるために装置を外したままにしてしまったり、装着時間を勝手に短縮してしまったりすることがあります。しかし、自己判断で計画通りに装置を装着しないと、予定していた通りに歯が動かなくなるだけでなく、後戻りを起こしてさらに治療期間が延びる原因になります。痛みが気になる場合も装置の使用は継続し、どうしても我慢できないときは速やかにかかりつけの歯科医院に相談することが大切です。
矯正中の知覚過敏はいつまで続く?期間の目安
多くの場合、矯正治療に伴う知覚過敏は一時的な症状です。歯の移動によって一時的に隙間ができたり、装置の調整によって神経が過敏になったりしている場合、その場所の歯の動きが落ち着く数日から1から2週間程度で自然としみる症状は治まっていくことがほとんどです。人間の唾液に含まれるカルシウムやリンといった成分には、微細な傷を修復する再石灰化作用があるため、時間の経過とともに象牙細管が自然に閉塞し、しみる感触が消えていきます。ただし、数週間以上経過しても痛みが悪化する場合や、しみる範囲が広がる場合は、別の要因を疑う必要があります。
知覚過敏と虫歯の違い・受診を急ぐべき危険なサイン
しみる痛みが一時的な知覚過敏なのか、それとも速やかに治療を必要とする虫歯や歯髄炎なのかを見極めることは非常に重要です。
一過性の痛みと長時間続く痛みの見分け方
知覚過敏と虫歯を区別する最大のポイントは、痛みが持続する時間です。知覚過敏の場合、冷たいものや風が当たった瞬間に鋭い痛みが走りますが、その刺激がなくなると数十秒以内にスッと痛みが引いていきます。これに対して虫歯の場合は、冷たいものを飲み終わった後もしばらくズキズキとした痛みが残り、何もしなくてもズキズキ痛む「自発痛」が生じることがあります。痛みが数分以上続く、あるいはだんだんと痛む頻度が増している場合は、知覚過敏ではなく虫歯が進行している可能性が高いため注意が必要です。
熱いものがしみる・ズキズキ痛むときは虫歯や歯髄炎の疑いも
冷たいものだけでなく、熱いスープや温かいお茶などがしみるようになった場合は、神経が重大なダメージを受けている危険なサインです。これは虫歯の病巣が神経の近くまで達しているか、すでに神経が炎症を起こしている(歯髄炎)状態、あるいは歯の根元に膿が溜まっているリスクを示唆しています。この段階になると、自然に治ることはなく、急激に強い痛みへと変化することが多いため、我慢せずに早急に歯科医院を受診してください。
歯科医院で受けられる知覚過敏の治療・処置
セルフケアを続けても症状が改善しない場合や、しみる痛みが原因で丁寧な歯磨きが難しくなっているときは、歯科医院で専門的な処置を受けることで速やかに症状を解決できます。
象牙細管を封鎖するコーティング剤やしみ止め薬の塗布
最も一般的で即効性のある処置は、露出してしまった象牙質に専用のしみ止め薬やコーティング剤を塗布する方法です。これにより、外部からの刺激の侵入経路である象牙細管を物理的に封鎖し、神経へ痛みが伝わるのをブロックします。このコーティング剤は数ヶ月にわたって効果を発揮しますが、毎日の丁寧なブラッシングや咀嚼によって少しずつ薄く剥がれていくため、必要に応じて定期的な再塗布を依頼すると良いでしょう。
フッ素塗布やレーザー照射による痛みの緩和
歯科医院で高濃度のフッ素ジェルを塗布してもらうことで、歯の再石灰化を強力に促進し、エナメル質を強化して知覚過敏の症状を抑えることができます。また、特定の医療用レーザーを歯のしみる部分に短時間照射する治療法もあります。レーザーの熱エネルギーによって象牙細管の入り口を塞いだり、神経の働きを一時的に沈静化させたりすることで、痛みを感じにくくする高い緩和効果が期待できます。
矯正装置の調整や噛み合わせの確認
もし特定の1本の歯だけが極端にしみる場合、その歯に矯正装置からの無理な負荷がかかりすぎていることや、動いた結果として噛み合わせが部分的に強く当たりすぎていることが考えられます。このような場合は、歯科医師に装置のワイヤーを微調整してもらったり、マウスピースの適合状態を確認してもらったりすることで、過剰な負荷を逃がし、速やかに知覚過敏の症状を解消させることができます。
まとめ:矯正中のしみる症状は一時的なケースが多い!無理せず適切なケアと相談を
矯正中に歯がしみる症状の多くは、歯が順調に動いている証拠であり、一時的な知覚過敏であるケースがほとんどです。神経を傷つけているわけではないため過度に不安がらず、知覚過敏用の歯磨き粉の使用や優しいブラッシングといった日々の丁寧なセルフケアを取り入れながら様子を見ましょう。ただし、痛みが長く続く場合や熱いものがしみる場合は、虫歯などのリスクも考慮し、無理に慢せず早めにかかりつけの歯科医院へ相談し、安心して矯正治療を進めていきましょう。
少しでも参考になれば幸いです。
本日も最後までお読みいただきありがとうございます。
監修者
近藤 光 | Kondo Hikaru
東京歯科大学卒業後、医療法人社団歯友会赤羽歯科に勤務し、その後、池袋診療所をはじめとする複数の歯科医院で経験を積み、フリーランス矯正歯科医として活動を開始。
その後、カメアリデンタル、デンタルクリニックピュア恵比寿、茅ヶ崎アルカディア歯科・矯正歯科、フォルテはにゅうモール歯科、舞浜マーメイド歯科など、多くの歯科医院で勤務を重ね、2023年12月赤坂B&S歯科・矯正歯科 開院。
【所属】
- 日本顎咬合学会
- 日本審美歯科学会
- 日本成人矯正歯科学会
- 日本舌側矯正歯科学会
- 日本メタルフリー学会
- 日本接着歯科学会
- 日本アライナー矯正研究会
- 日本顎顔面美容医療協会 認定医
- ICOI(国際口腔インプラント学会)
- 日本一般臨床矯正研究会
- OTEXE
- インディアナ大学歯学部矯正科認定医
【略歴】
- 東京歯科大学 卒業
- 医療法人社団歯友会赤羽歯科
- 同法人池袋診療所 入局
- 医療法人スマイルコンセプト
- 高田歯科インプラントセンター
- しんみ歯科
- 医療法人社団優綾会カメアリデンタル 矯正歯科担当医
- デンタルクリニックピュア恵比寿 矯正歯科担当医
- 医療法人社団角理会 茅ヶ崎アルカディア歯科・矯正歯科 矯正歯科担当医
- 医療法人恵優会フォルテはにゅうモール歯科 矯正歯科担当医
- 舞浜マーメイド歯科 矯正歯科担当医
- 医療法人恵優会かすかべモール歯科 矯正歯科担当医
- レフィーノデンタルクリニック 矯正歯科担当医
- 医療法人社団カムイ会柏なかよし矯正歯科・小児歯科 矯正歯科担当医
- 赤坂B&S歯科・矯正歯科院長
赤坂の歯医者・矯正歯科
『赤坂B&S歯科・矯正歯科』
住所:東京都港区赤坂3-2-2 日総第24ビル1・2F
TEL:03-5544-9426