港区赤坂・赤坂見附の歯医者・矯正歯科「赤坂B&S歯科・矯正歯科」です。
朝起きたときに顎の周りが重く感じたり、日中に無意識のうちに奥歯を噛みしめていたりすることはありませんか。実は、寝ている間の歯ぎしりや日中の食いしばりは、自分では気づかないうちに非常に大きな力で行われています。こうした癖を放置しておくと、大切な歯や顎の関節に深刻なダメージが蓄積されていきます。歯科医療においては、これらの行為は「ブラキシズム」と総称され、お口全体の健康を損なう大きな原因として問題視されています。今回は、この無意識の癖がもたらす影響と、大切な歯を守るための有力な選択肢であるマウスピースの役割について詳しく解説します。
もしかして自分も?歯ぎしり・食いしばりのサインをセルフチェック
歯ぎしりや食いしばりは、多くの場合で睡眠中や何かに没頭しているときに無意識に行われています。そのため、自分ではなかなか気づくことができません。まずは、身の回りや自分のお口の状態から、知らず知らずのうちに強い負荷をかけていないかを確認してみましょう。朝起きたときに顎の関節やこめかみの筋肉がこわばっている、あるいは鈍い痛みがある場合は、夜間に激しい食いしばりを行っている可能性が高いです。また、舌の側面に歯の跡がデコボコと残っていたり、頬の内側の粘膜に白い線の痕跡があるのも、日常的に上下の歯を強く押し当てている明確なサインです。さらに、歯の先端が削れて平らになっていたり、冷たいものが急にしみるようになったりした場合も、過度な摩擦が起きていることが疑われます。家族から寝ているときに音がしていると指摘されたことがない方も、音が鳴らないタイプの食いしばり(クレンチング)をしているケースが多いため油断はできません。これらの兆候に一つでもあてはまるものがあれば、早めに対策を考える必要があります。
放置は危険!歯ぎしり・食いしばりがもたらす7つの悪影響
歯ぎしりや食いしばり(ブラキシズム)をすることでお口にかかる負荷は、想像を絶するものがあります。睡眠中の歯ぎしりや食いしばりには、自分の体重以上の力が歯に加わるとも言われており、その破壊力は極めて強大です。この状態を特別なケアをせずに放置してしまうと、お口の中だけではなく、全身の健康や審美的な面にまで様々なトラブルを巻き起こすことになります。ここでは、その具体的な7つの悪影響について整理していきます。
1. 歯がすり減る・欠ける・割れる
人間の歯は非常に硬いエナメル質で覆われています。しかし、歯ぎしりによる強い摩擦が続くと、歯の先端が削れて平らになっていきます。さらに負荷が大きくなると、歯の角が欠けてしまったり、最悪の場合は歯の根元から真っ二つに割れてしまう破折を引き起こすこともあります。歯根まで割れてしまった場合は、抜歯を余儀なくされるケースも珍しくありません。
2. 詰め物・被せ物が取れる・壊れる
歯科治療で入れたコンポジットレジンや、セラミックなどの被せ物は、強い衝撃を受けることで欠けるリスクがあります。歯ぎしりによる強力な圧力は、これらの修復物を接着しているセメントの劣化を早め、詰め物が外れる原因にもなります。せっかく時間と費用をかけて治療した歯であっても、ブラキシズムの負荷によって寿命が縮まったり、被せ物が破損脱離したりするリスクが続きます。
3. 知覚過敏を引き起こす
歯の外側のエナメル質が薄くなったり、歯の根元部分が削れてしまうことで、その下にある象牙質が露出すると、冷たいものや熱いものが歯にしみる「知覚過敏」の症状が現れやすくなります。歯ブラシで磨いたときにもスッとしみることがあり、日常生活に不快感をもたらす原因になります。
4. 顎関節症の原因になる
顎を動かすための関節である「顎関節」にも、食いしばりや歯ぎしりによる多大な負荷がかかります。これにより、「口を開け閉めする時にカクカク、ジャリジャリといった音が鳴る」「口を大きく開けられない」「顎の周りやこめかみが痛む」といった顎関節症のさまざまな症状が現れやすくなります。
5. 歯周病を悪化させる
歯ぎしりや食いしばりによる過度な力は、歯周病の進行を早めるとされています。歯を支えている骨が激しい揺さぶりの力によって吸収されやすくなり、結果として歯がグラグラと動く「動揺」を招き、最悪の場合は歯周病の悪化に伴って歯を失うことにもなりかねません。
6. 頭痛・肩こりなど全身の不調につながる
噛みしめるための筋肉が常に緊張した状態は、首や肩、頭部の筋肉にも疲労を蓄積させます。これは慢性の頭痛や肩こり、首の痛みなど、お口の周りだけではなく全身のさまざまな箇所に不調をもたらす原因となっています。
7. エラが張り顔の印象が変わることも
お口の横にある噛みしめるための大きな筋肉である「咬筋」が、歯ぎしりによって良くも悪くも鍛えられてしまうことがあります。筋肉が過度に発達して厚みを増すことで、エラが張って顔の形が四角く見えるようになり、顔の印象が変わってしまうことがあります。
歯を守る盾|マウスピース(ナイトガード)の重要な役割と効果
ナイトガードは主に就寝中の歯ぎしりや食いしばりを防ぐために使用され、クッションの役割を果たすことで歯や顎にかかる力を抑制・軽減するための器具です。歯のすり減りを防ぐだけでなく、顎関節や周辺の筋肉を守るためにも大きな効果があります。ここでは、その効果の内容を詳しく紹介します。
効果1:歯の摩耗や破損を直接防ぐ
マウスピースを装着することで、上下の歯が直接こすれ合うのを防ぎ、歯のすり減りを防ぎます。夜間マウスピースは、歯のすり減りを防止する代わりに、マウスピース自体がすり減ることで大切な歯を守ります。さらに、セラミックやコンポジットレジンなどの修復物・被せ物が欠けたり壊れたりするリスクを防ぎます。
効果2:歯や顎にかかる力を分散・軽減する
夜間マウスピースは歯列を連結固定することで、歯ぎしり中の力を歯列全体に分散させます。この力の分散により、1本の歯にかかる負担を低減し、歯の破折や歯根破折を防止することができます。
効果3:顎関節や筋肉の緊張を和らげる
スプリントは顎関節の位置を調整し、適切な噛み合わせをサポートすることで、顎関節の機能を正常に戻し、顎関節の負担を軽減することができます。また、噛みしめるための筋肉の過度な緊張を和らげ、朝の顎の痛みやこわばった感じを減らすことができます。
【徹底比較】歯科医院のマウスピース vs 市販品、どちらを選ぶべき?
マウスピースは市販されているものもありますが、歯科医院で作成するオーダーメイド品とは、装着感や効果が大きく異なります。ここでは、どちらを選ぶべきなのかを解説します。
歯科医院で作るオーダーメイドマウスピースのメリット
歯科医院で作成されるオーダーメイドのマウスピースは、お口の型を精密に採取して作られるため、装着することで噛み合わせのバランスが整えられます。そのため、安定した装着感が得られ、睡眠中にマウスピースがずれたり外れたりすることがありません。歯の位置を保定し、ときには歯並びのバランスを維持するのにも役立ちます。
市販のマウスピースをおすすめしない理由|逆効果になる可能性も
市販のマウスピースは多くの場合、柔らかい素材でできており、ご自身で熱湯に浸して形を合わせるタイプが主流です。しかし、精密にお口に合わせることは難しく、噛み合わせのバランスが崩れたり、特定の歯に強い力が当たったりして、逆に顎関節や歯を傷める可能性があります。安全性を考えると、歯科医院で作るのが良いでしょう。
素材の違い(ハードタイプとソフトタイプ)と選び方
ハードタイプのマウスピースはレジンと呼ばれる硬い樹脂素材でできており、素材が丈夫であるため歯ぎしりによって削れにくいのが特徴です。一方、ソフトタイプはシリコンなどの柔らかい素材です。歯ぎしりや食いしばりの強い方には、しっかりと歯を守り、耐久性に優れたハードタイプの使用が適しています。
歯科医院でのマウスピース作成ガイド|費用・保険適用・流れ
歯科医院でマウスピースを作るときの費用や保険適用、そして診療の流れについてご紹介します。
マウスピース作成は保険適用?費用の目安
歯ぎしりや食いしばり(ブラキシズム)が原因で顎の痛みや歯のダメージがある場合、治療目的で作るマウスピース(スプリント/ナイトガード)は健康保険が適用されます。保険が適用される場合(3割負担の方)のマウスピース作成費用の目安は、一般的に5,000円〜7,000円程度となることが多いです。なお、睡眠時無呼吸症候群の治療に用いるマウスピース(スリープスプリント)は保険適用で10,000〜13,000円程度、スポーツ用マウスピースは保険適用外で7,700〜11,000円程度となります。
相談から完成までの流れと期間
マウスピース作成のプロセスは、初診・診断、型取り、完成・調整(約1〜2週間程度)、定期メンテナンスという流れで進められます。通常は2回程度の来院で、短期間のうちに型取りから完成まで完了します。
マウスピースの正しい使い方とお手入れ方法
マウスピースのお手入れとして、毎日の使用後に流水で丁寧に洗い、柔らかい歯ブラシで優しく清掃します。熱に弱い素材が多いため、必ず水かぬるま湯を使用し、熱いお湯は避けます。週に数回は専用の洗浄剤を使用することで、細菌の繁殖を抑え、より清潔に保つことができます。
マウスピースの寿命と交換時期の目安
マウスピースの寿命は、使用頻度や歯ぎしりの強さによって個人差がありますが、一般的には2〜3年程度が目安とされています。削れて薄くなったり、穴が開いたりした場合は、早めに歯科医院を受診して新しく作り直してもらいましょう。
知っておきたいマウスピース使用の注意点とデメリット
マウスピースは非常に便利な器具です。しかし、使用するうえではいくつかの注意点があります。
歯ぎしり・食いしばり自体が治るわけではない
マウスピースをしても歯ぎしりと食いしばりはなくなりません。マウスピースは歯ぎしりや食いしばりそのものを治すわけではないため、肩こりや頭痛も直接的には治らないことがあります。しかし、歯や顎、詰め物への甚大なダメージを未然に防ぐためには極めて重要な役割を果たします。
慣れるまでの違和感と対処法
夜間のマウスピースの主な欠点は、装着時の違和感や多少の圧迫感です。歯科医院で作成するオーダーメイドのマウスピースは、装着し始めた数日間は異物感を覚えることがありますが、多くの方が1週間程度で慣れることができます。どうしても慣れない場合は、歯科医院で厚みの調整をしてもらいましょう。
お手入れを怠ると虫歯のリスクに
マウスピースの清掃を怠ると、装置の内側にプラークや唾液の汚れが蓄積し、細菌やカビが繁殖して虫歯や歯周病のリスクが高まります。使用後は必ず毎日水洗いをし、清潔に保つ習慣をつけましょう。
定期的なメンテナンスの重要性
マウスピースを使っていると、激しい食いしばりによって装置自体がすり減っていきます。これにより少しずつ噛み合わせが変わってくることがあるため、定期的に歯科医院へ持参し、マウスピースの適合や噛み合わせのバランスをチェックしてもらうことが非常に重要です。
マウスピース以外の歯ぎしり・食いしばり対策
マウスピースを使用する以外にも、日常生活の中で取り組める歯ぎしり・食いしばり対策があります。
日中の無意識の癖「TCH(歯列接触癖)」を意識する
TCH(Tooth Contacting Habit:歯列接触癖)とは、日中の無意識の食いしばりや接触癖であり、本来、リラックスしている状態では、上下の歯は触れ合わず、わずかに隙間(安静空隙)が空いているのが正常です。TCH是正指導では、「歯を離す」「力を抜く」といったメッセージを書いた付箋を、デスクやパソコン、スマートフォンの目につく場所に貼ることをおすすめしており、これは視覚的な認知を利用した認知行動療法です。
ストレス管理とリラックス法(セルフマッサージなど)
ストレスはブラキシズムの最大の原因と考えられています。噛みしめる筋肉(咬筋)は、エラの少し上あたりに位置する大きな筋肉であり、親指以外の4本の指の腹を使い、円を描くように優しくマッサージすることでほぐすことができます。また、こめかみ付近にある「側頭筋」を指の腹でゆっくりとほぐしていくことで、顎の痛みを軽減する効果が期待できます。就寝前はぬるめのお湯にゆっくり浸かって体を温めたり、就寝1時間前にはスマートフォンやパソコンの使用をやめ、カフェインやアルコールの摂取を控えるなどして、睡眠の質を高めることが大切です。
専門的な治療法(ボトックス治療)
ボトックス治療(ボツリヌス治療)は、物を噛むときに使う筋肉である「咬筋」に、ボツリヌス・トキシンという薬剤を注射することで、筋肉の過度な緊張を和らげ、歯ぎしりの力を弱めるアプローチです。ボトックス治療の効果は一時的で、数ヶ月程度で徐々に薄れていくため、効果を維持するには定期的な施術が必要となります。
歯ぎしり・食いしばりとマウスピースに関するよくある質問
マウスピースを使用する際によくある疑問にお答えします。
Q1. 使い始めてどのくらいで慣めますか?
お口の型をしっかり取って作るオーダーメイドのものであれば、装着し始めた数日間は多少の異物感や圧迫感があっても、多くの方が1週間程度で慣れることができます。
Q2. 矯正中でもマウスピースは作れますか?
ワイヤー矯正を行っている場合は、矯正装置にマウスピースが干渉してしまうため、マウスピース作成が難しいことが多いです。治療完了後に保定装置を兼ねたものが使われることもありますので、担当医に相談してください。
Q3. マウスピースで顎の痛みや頭痛も治りますか?
マウスピースは歯ぎしりそのものを治す装置ではないため、頭痛や肩こりを直接的に完治させるわけではありません。しかし、顎関節や筋肉への負担を大幅に軽減するため、結果として朝起きたときの顎の痛みや肩こりが楽になったと実感される方は非常に多いです。
まとめ:将来の歯の健康を守るために、まずは専門家へ相談を
歯ぎしりや食いしばりは、自分では気づきにくいにもかかわらず、歯や顎、そして全身までさまざまな悪影響をもたらします。放置してしまうと、歯が割れてしまったり、被せ物が壊れたり、顎関節症の原因になったりするリスクがあります。お口と全身の健康を守るためにも、まずは信頼できる歯科医院に相談し、自分のお口にしっかり適合するオーダーメイドのマウスピースを検討してみてはいかがでしょうか。将来的な治療コストや肉体的・精神的な負担を抑えるためにも、まずは専門家への相談という一歩を踏み出してみましょう。
少しでも参考になれば幸いです。
本日も最後までお読みいただきありがとうございます。
監修者
近藤 光 | Kondo Hikaru
東京歯科大学卒業後、医療法人社団歯友会赤羽歯科に勤務し、その後、池袋診療所をはじめとする複数の歯科医院で経験を積み、フリーランス矯正歯科医として活動を開始。
その後、カメアリデンタル、デンタルクリニックピュア恵比寿、茅ヶ崎アルカディア歯科・矯正歯科、フォルテはにゅうモール歯科、舞浜マーメイド歯科など、多くの歯科医院で勤務を重ね、2023年12月赤坂B&S歯科・矯正歯科 開院。
【所属】
- 日本顎咬合学会
- 日本審美歯科学会
- 日本成人矯正歯科学会
- 日本舌側矯正歯科学会
- 日本メタルフリー学会
- 日本接着歯科学会
- 日本アライナー矯正研究会
- 日本顎顔面美容医療協会 認定医
- ICOI(国際口腔インプラント学会)
- 日本一般臨床矯正研究会
- OTEXE
- インディアナ大学歯学部矯正科認定医
【略歴】
- 東京歯科大学 卒業
- 医療法人社団歯友会赤羽歯科
- 同法人池袋診療所 入局
- 医療法人スマイルコンセプト
- 高田歯科インプラントセンター
- しんみ歯科
- 医療法人社団優綾会カメアリデンタル 矯正歯科担当医
- デンタルクリニックピュア恵比寿 矯正歯科担当医
- 医療法人社団角理会 茅ヶ崎アルカディア歯科・矯正歯科 矯正歯科担当医
- 医療法人恵優会フォルテはにゅうモール歯科 矯正歯科担当医
- 舞浜マーメイド歯科 矯正歯科担当医
- 医療法人恵優会かすかべモール歯科 矯正歯科担当医
- レフィーノデンタルクリニック 矯正歯科担当医
- 医療法人社団カムイ会柏なかよし矯正歯科・小児歯科 矯正歯科担当医
赤坂の歯医者・矯正歯科
『赤坂B&S歯科・矯正歯科』
住所:東京都港区赤坂3-2-2 日総第24ビル1・2F
TEL:03-5544-9426